離婚して疎遠になった前妻の子も実子であることは変わらず、相続権を持ちます。相続分や遺留分に関する権利も後妻の子と変わらないことを理解しておきましょう。
前妻の子が相続人になる場合、後妻や後妻の子と相続手続きや遺産分割協議を行わなければならない可能性があり、相続トラブルの発生に注意しなければなりません。
相続トラブルを回避するために遺言書を作成する、生前贈与を行うなど相続対策をするのがおすすめです。
本記事では、相続における前妻の子の取り扱いや前妻の子が相続人になったときに起きやすいトラブルを解説します。
目次
前妻の子も後妻の子と同様に相続権を持ちます。また、相続分や遺留分に関しても、後妻の子と同様の権利が認められます。
相続において前妻の子がどのように扱われるのか詳しく見ていきましょう。
結論から言うと、前妻の子も実子であることは変わらず相続権を持ちます。前妻の子を引き取って自分が育てたかどうかや前妻の子と定期的に面会していたかは関係ないのでご注意ください。
なお、相続権を持つ前妻の子とは、あくまでも自分と前妻の子のみです。前妻の連れ子と養子縁組していない場合は、前妻の連れ子が相続権を持つことはありません。
関連サイト国税庁「No.4132相続人の範囲と法定相続分」
前妻の子は実子の立場で相続人になるため、後妻の子と同様の相続権を持ちます。子供の相続分は、下記の通りです。
被相続人に配偶者がいる |
|
---|---|
被相続人に配偶者がいない | 子供がすべて相続する |
なお、子供が複数人いる場合はそれぞれで相続分を等分します。
前妻の子であっても相続人としての権利に影響はなく、相続分だけでなく遺留分に関しても後妻の子と同様の権利を持ちます。
遺留分とは、被相続人の配偶者や子供などが遺産を最低限度受け取れる権利です。
したがって後妻と後妻の子、前妻の子が相続人になった場合、後妻と後妻の子だけで遺産を独占できない場合もあります。
前妻の子が遺留分侵害額請求権を行使した場合、遺産を多く受け取った後妻や後妻の子は遺留分侵害相当額の金銭を支払う必要があるからです。
なお、遺留分は遺言よりも優先されます。したがって、被相続人が「後妻に全財産を相続させる」といった内容で遺言書を作成していたとしても、前妻の子に遺留分侵害請求される可能性があります。
前妻の子と後妻、後妻の子による相続トラブルを回避したい場合は、遺留分を考慮した上で相続対策を行うことが大切です。
前妻の子に相続権がある一方で、被相続人と離婚した前妻には相続権がありません。相続人になれる配偶者とは法律上の夫婦であり、内縁関係にある人や離婚した人は該当しないからです。
被相続人が遺言書を用意していなかった場合は、相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。遺産分割協議では、誰がどの財産をどれくらいの割合で受け継ぐかを決定します。
相続人全員で行っていない遺産分割協議は無効になるため、後妻や後妻の子が前妻の子を除いて遺産分割方法の決定や相続手続きを行うことはできません。
また、前妻の子と後妻、後妻の子の関係性が悪い場合や疎遠だった場合は、遺産分割協議や相続手続きでトラブルに発展しやすいので注意しましょう。
前妻の子と後妻の子が相続人になったときに共通で言えることですが、未成年者が相続人になった場合は本人が遺産分割協議に参加することはできません。
未成年者は法的手続きを自分で行うことができず親権者などの代理人が必要になるからです。
前妻の子が未成年で相続人になった場合は、親権者として前妻が遺産分割協議や相続手続きに参加する可能性がある点に考慮しなければなりません。
離婚の時期や原因によっては、前妻と後妻、後妻の子の関係性が悪い場合もあるでしょう。前妻の子が相続人になるケースでは、トラブルの発生に注意しなければなりません。
次の章では、起きやすい相続トラブルを解説していきます。
前妻の子が相続人になったときには、後妻や後妻の子と相続手続きを進めなければならない場合もあり、相続トラブルが起きる可能性があります。
前妻の子が相続人になったときに起きやすいトラブルおよび対処法を詳しく見ていきましょう。
被相続人と前妻の子が長年疎遠だった場合、後妻や後妻の子が前妻の子と連絡が取れない可能性があります。
被相続人が遺言書を用意していなかった場合、前妻の子含む相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、連絡先がわからないと相続手続きを進められなくなってしまいます。
前妻の子の連絡先や現住所を特定するのが難しい場合は、相続人調査を専門家に依頼するのも良いでしょう。
前妻の子が後妻や後妻の子と関わることを避け、相続手続きに協力してくれないケースもあります。
前妻の子が相続手続きに非協力的であり、トラブルに発展しそうなケースでは、相続に詳しい専門家に手続きを依頼することもご検討ください。
専門家が間に入れば、前妻の子も相続手続きや遺産分割協議に応じる可能性があります。
後妻や後妻の子が前妻の子に財産を渡さず、独占しようとする可能性もゼロではありません。
しかし、本記事で解説したように前妻の子も相続人であり遺留分が認められるため、前妻の子が遺留分侵害学請求をした場合は応じる必要があります。
中には、後妻と後妻の子に財産を多く遺したいと考えるケースもあるでしょう。
例えば、実家以外の遺産をほとんど遺せない場合は、遺言書を作成し後妻や後妻の子に財産を多く遺すことも検討しましょう。前妻の子に遺産を相続させない方法を詳しく解説します。
遺言書を作成すれば、相続人ではなく自分が希望する人物に財産を遺せます。
例えば、後妻に財産を多く遺したい場合や後妻の連れ子に財産を遺したい場合は、遺言書を作成するのが良いでしょう。
ただし、遺留分は遺言より優先されるため「後妻に全財産を遺す」と遺言書に記載していても、前妻の子が遺留分侵害額請求を行い遺言書通りの遺産分割にならない可能性があります。
後妻や後妻の子など財産を遺したい人物に生前贈与しておけば、遺産を減らせ前妻の子が受け継ぐ財産も少なくできます。
ただし、被相続人が死亡する前の10年間で行われた贈与に関しては、持ち戻しの対象となり、遺留分の計算対象になる可能性があるのでご注意ください。
特定の人物に財産を遺したいのであれば、生命保険も有効です。生命保険金は原則として遺産分割の対象外であり、受取人固有の財産として扱われるからです。
生命保険金は遺産分割協議が完了する前でも受け取れるので、遺された後妻の生活費や遺留支払い用の金銭としても活用できるほか、遺留分侵害請求があった際に支払う金銭の原資とすることもできます。
前妻の子も相続人になるため、後妻や後妻の子に多く財産を遺したいのであれば相続対策をしておく必要があります。
相続人や相続財産の状況に合う相続対策を行うには、専門的な知識や経験が必要です。また、特定の人物に財産を遺す相続対策を行う場合は贈与税や相続税の負担を軽減する対策も同時に必要になります。
相続税対策や生前贈与時の贈与税の対策をしたい場合は、相続に詳しい税理士への相談がおすすめです。
杉並・中野相続サポートセンターは、西荻窪駅から徒歩1分の便利な場所に事務所があり、開業して35年以来、杉並区や中野区をはじめとした地域に密着してご相談者様の相続をサポートしてまいりました。
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