相続時に他の相続人に遺産を独占された場合の対処法を解説します【税理士事務所監修】

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遺産の独り占めは違法?相続財産を独占された場合の解決方法

遺産相続では、特定の相続人が遺産をひとり占めしようとして、相続トラブルに発展してしまうケースが少なくありません。

遺産を独占している相続人が主張を譲らず、残りの相続人との話し合いに応じない場合には、遺留分侵害額請求調停や訴訟を行うことも検討してきおましょう。

また、遺産をひとり占めしている相続人がすでに遺産を使い込みしていないか調べるためにも、相続財産の調査を念入りに行っておくのがおすすめです。

本記事では相続に強い税理士が多数在籍する杉並・中野相続サポートセンターが相続財産をひとり占めすることはそもそも可能なのか、ひとり占めされて納得できないときの対処法を紹介していきます。

相続財産のひとり占めは可能?

結論から言うと、相続人のひとりが相続財産をひとり占めする権利はありません。

  • 被相続人の配偶者だから
  • 長男だから
  • 長年同居して世話をしてきたから

遺産を独占している相続人がこのように主張したとしても、応じる必要はありません。まずは、民法によって決められている相続財産の分け方に関するルールを確認していきましょう。

民法では法定相続分が決められている

民法では、遺言書がない場合に遺産を相続できる人物(法定相続人)と相続できる割合(法定相続分)を定めています。法定相続人は、以下のように順位が決められています。

常に相続人になる配偶者
第一順位子供
第二順位親や祖父母などの直系尊属
第三順位兄弟姉妹

自分より順位が上の相続人がいる場合には、その人は法定相続人にはなりません。例えば被相続人に配偶者と子供がいる場合には、被相続人の両親や兄弟姉妹は法定相続人ではありません。

そして、法定相続人の組み合わせによって法定相続分が決められています。法定相続分の例は、以下の通りです。

法定相続人 法定相続分
配偶者と子供が相続人のケース 配偶者と子供で1/2ずつ分ける
配偶者と両親が相続人のケース 配偶者が2/3、両親が1/3ずつ分ける
配偶者と兄弟姉妹が相続人のケース 配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4ずつわける

さらに長男と次男などのように、同じ立場の相続人が複数人いた場合は、均等に分けるように決められています。

そのため、配偶者だから、長男だからといった理由で相続財産をひとり占めすることは認められていません。

遺言書が書かれていても遺留分を主張できる

被相続人が遺言書を作成していた場合には、遺言書の通り遺産分割を行えます。

ただし、遺言書の内容が遺留分を侵害していた場合には、遺留分を侵害している部分の遺言書は無効になってしまいます。

遺留分とは、被相続人の配偶者や子供、親などに与えられている遺産を最低限度受けとれる権利です。例えば、被相続人が「財産を全て愛人に相続させる」といった内容の遺言書を遺していても法定相続である配偶者や子供は遺留分を主張できます。

相続財産をひとり占めできるケース

民法上、相続財産のひとり占めは認められていませんが、遺産分割の結果、相続財産をひとり占めしてしまうケースは存在します。いくつかのケースを確認していきましょう。

遺言書が作成されているケース

被相続人が遺言書を作成していて、一人の人物に相続財産を遺すように指定しているケースでは、相続財産をひとり占めできる可能性があります。具体的には、以下のケースでは一人で遺産を相続できます。

  • 他の相続人に遺留分がないケース
  • 他の相続人が遺留分を主張しないケース

例えば、相続人が配偶者と兄弟で「配偶者に財産を全て遺す」と遺言書で記載している場合は、兄弟姉妹に遺留分はないので、配偶者が全て遺産を相続できます。

相続人がひとりのケース

相続人が自分一人の場合には、結果として相続をひとり占めしてしまう形になります。相続人が一人になってしまう例は、主に以下の通りです。

  • 子供もいない夫婦で被相続人が一人っ子かつ両親はすでに亡くなっている場合
  • 両親がどちらも亡くなっていて一人っ子の場合
  • 被相続人が独身であり、自分と2人兄弟の場合

自分以外が相続放棄をしたケース

相続人としての立場を放棄する「相続放棄」を自分以外の相続人が行った場合には、全ての財産を自分一人で相続できます。

ただし、相続人が相続放棄を行うケースでは、被相続人に多額の借金がある恐れもあります。

自分以外の相続人が相続放棄した場合には、相続放棄の理由を尋ねる、故人の相続財産に関する調査を行うなどをしておくと安心です。

遺産分割協議で相続人全員の合意を得たケース

本記事の前半で民法によって法定相続人と法定相続分が決められていると解説しましたが、法定相続人および法定相続分は必ずしも従う必要はありません。

相続人全員で行う遺産分割協議で合意した遺産分割方法であれば、相続財産をひとり占めしてしまうことになっても問題ありません。

例えば被相続人が自宅しか遺さず亡くなった場合には「ずっと同居していたあなたが相続していいよ」と残りの相続人が言ってくれる場合もあるでしょう。この場合には、自分が遺産を全て相続できます。

相続財産をひとり占めされたときの対処法

相続財産を他の相続人にひとり占めされた場合、とうてい納得できない、自分の相続分が欲しいと感じる方も多いはずです。相続財産をひとり占めされたときの対処法を3つ紹介していきます。

相続財産や相続人の調査を行う

まずは相続財産や相続人の調査を行いましょう。相続財産や相続人が確定しないと、そもそも自分の法定相続分や遺留分を計算できないからです。

また相続財産の調査をしていく中で、遺産を独占している相続人による相続財産の使い込みが発覚する可能性もあります。

使い込みが発覚した場合には、トラブルが長期化する可能性が高いので相続トラブルに強い弁護士への相談をおすすめします。

相続人間で話し合いを行う

相続財産や相続人の調査が完了し、法定相続分や遺留分の金額が確定したら、遺産を独占している相続人とまずは話し合ってみましょう。

遺言書がある場合には、遺留分という権利があることを伝えます。場合によっては、遺留分侵害額請求を行うために、内容証明郵便を相手に送るのもおすすめです。

遺言書がない場合には、遺産分割には目安となる法定相続分が決められていることを相手に伝え説得します。

遺産をひとり占めしている相続人が遺留分や法定相続分に関する知識がなく、ひとり占めしている場合には、この段階で公平な遺産分割に合意してくれる可能性もあるでしょう。

遺留分侵害額請求調停や訴訟を行う

内容証明郵便を送り遺産分割侵害額請求を行っても、相続人が無視する場合や話し合いに納得してくれない場合には、遺留分侵害額請求調停や訴訟を行うこともご検討ください。

調停で双方が合意にいたった内容をまとめた調停証書や訴訟で裁判所が下した判決には、法的拘束力があります。

そのため、相続財産をひとり占めしている相続人が遺産の返還に応じてくれない場合には、差押えなどの手続きもできるようになります。

遺留分侵害額請求調停や訴訟は、法律や相続に関する専門的な知識が必要です。自分で行うことは現実的ではないので、相続に詳しい弁護士へ相談しましょう。

まとめ

民法では、遺産を相続する人物である法定相続人やそれぞれの相続割合である法定相続分を定めています。

そのため、亡くなった人の配偶者や長男だからといって相続財産をひとり占めすることは認められていません。

被相続人が遺言書を遺していた場合でも、被相続人の配偶者や子供、両親は遺留分に相当する金銭は遺産をひとり占めしている人物に対して請求できます。

また、遺産分割協議による話し合いの結果や自分以外の相続人全員が相続放棄したケースなど、結果として相続をひとり占めしてしまうケースも存在しますが、それは問題になりません。

万が一、相続財産をひとり占めされて納得がいかないと感じるのであれば、相続人との話し合いや遺留分侵害額請求を行いましょう。

遺産を独占している相続人が主張を譲らない場合には、相続トラブルに詳しい弁護士への相談も検討すると良いでしょう。

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