故人が亡くなり遺産分割協議が終了すると、その後もさまざまな手続きが必要となります。故人が亡くなった後の慌ただしさで忘れがちになってしまう手続きもあるため、1つ1つしっかりこなしていくようにしましょう。このページでは、遺産分割協議後に必要となる不動産や銀行口座の名義変更の方法や生命保険の受け取り方についてご紹介します。
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遺産のなかに土地や建物どの不動産があった場合、遺産分割後に不動産の名義を故人から相続人の名前に変更する必要があります。このように、不動産の権利関係を明らかにするために必要となる手続きを「不動産登記」といいます。
相続後の不動産登記は2021年現在、手続きは義務化されてはいません。しかしこの手続をしておかないと不動産が現在誰のものなのかがわかりにくくなり、スムーズに売却できない、担保などとして活用できないなどのデメリットが生じるため、相続後は速やかに手続きすることをおすすめします。また、今後は相続後の不動産登記が義務化されることが予定されています。
不動産登記の手続きは非常に複雑で、自力で行うことは困難です。そのため、まずは登記の専門家である司法書士に相談することを検討しましょう。杉並・中野相続サポートセンターでは司法書士との連携を行っていますので、相続税のご相談の際に併せて司法書士のご紹介ができる可能性もあります。
また、相続後の不動産登記は誰が相続するかなどによっても手続きの難易度が異なります。以下のような場合には難易度がかなり高いことが予想されますので、司法書士に相談することを特におすすめします。
*司法書士に相談したほうがよいケース
不動産登記では、それぞれ以下のような書類が必要となります。
*法定相続人が一人の場合または法定相続分で相続をする場合
*遺産分割協議で決めた割合で相続をする場合
不動産登記には司法書士への依頼費用とは別に、法務局へ支払う登録免許税の納付が必要となります。登録免許税は固定資産評価証明書に記載されている不動産価格✕0.4%で計算されます。
遺産相続で取得した不動産は実際には使用しないという方も多く、売却を検討される方も少なくありません。もちろん相続した不動産を売ることは可能なのですが、相続税を始めとする税金で損をしないためには以下のようなポイントに注意することが大切です。
故人の遺産が一定の量を超える場合には、亡くなった日から10か月以内に相続税申告を行う必要があります。この期間中に故人が自宅として使用していた土地を売却する場合、相続税申告で利用できる「小規模宅地の特例」に影響を及ぼす可能性があるため、売却してしまう前に税理士に相談することを検討しましょう。
小規模宅地の特例とは故人が自宅として、あるいは事業用、貸付用に土地を使用していた場合に、その土地の評価額を最大80%減額できる特例のことをいいます。評価額が下がれば、必然的に納めるべき相続税額が下がることはもちろん、場合によっては遺産総額が基礎控除額を下回ることによって、相続税がかからなくなる可能性もあります。
故人の配偶者がその土地を相続する分にはすぐに売却しても小規模宅地の特例を利用することができるのですが、その他の相続人が相続する場合には、すぐに売却してしまうことによって小規模宅地の特例が受けられなくなり、税額が跳ね上がってしまう恐れもあるため、売却する前にかならず税理士に相談することが大切です。
また、不動産を売却する場合には登録免許税、印紙税、譲渡所得税、住民税、復興特別所得税などさまざまな税金がかかることが想定されます。売却の際には、どのような税がどれくらいかかるのかを予め確認しておくことが大切です。
なお、譲渡所得税については相続した不動産を売却する場合には、以下のような優遇税制を受けられる可能性があり、税金が安くなることを期待できます。
*相続税を支払った場合、譲渡所得税が安くなる可能性がある
ここではまず、譲渡所得税に計算方法をご覧ください。
1 売却収入-不動産の取得費(不明な場合は、売却収入の5%)=譲渡所得
2 譲渡所得×20.315%(国税15.315%、地方税5%)=譲渡所得税
まずは1の式で譲渡所得を算出したあと、その数字を基に2の式で譲渡所得を算出します。
相続税を納付した場合、その金額を1の式にある「相続税の取得費」として加算できるため、結果的に譲渡所得税が安くなります。この特例を適用する場合、故人が亡くなった日から3年後の日が属する年の12月31日までに土地を譲渡する必要があります。
例)令和2年4月1日に相続開始の場合令和2年4月2日から令和5年12月31日までに売却した場合、適用が可能です。
*空き家の特別控除
平成28年に創設されたこの特例を活用することによって、譲渡所得から3000万円を控除することができる可能性があります。以下では、空き家の特別控除を使用するための要件をご紹介します。
<要件>
以上のように、不動産の相続やその売却ではさまざまな税が関与してくることが予想されます。また、毎年の税制改正により制度が変更されることもあるため、知らないと損をしてしまうこともよくあります。
このように税金で損をしてしまうことがないよう、相続で手に入れた土地を売却することを検討している場合には、売却する前に相続に詳しい税理士に相談することを検討しましょう。
また、直接、相続に強い税理士に相談したいという方は、以下からお問い合わせが可能です。お気軽にご連絡ください。
故人が亡くなると、一部の相続人が勝手に預金を引き出したりしてしまわないよう、銀行は遺産分割協議が終了するまで故人の銀行口座を凍結させてしまいます。そのため、相続人は遺産分割協議が終了するまで、故人の銀行口座からお金を引き出すことができません。
故人の銀行口座から再びお金を引き出せるようにするためには、遺産分割協議が終了したあと、銀行で手続きを行う必要があります。以下では、遺産分割の方法別に名義変更の手続き方法や必要書類についてご紹介します。
相続人同士の話し合い(遺産分割協議)によって遺産分割ができた場合、以下のような書類を銀行に提出する必要があります。
*遺産分割協議で遺産分割した場合の主な必要書類
なお、銀行によって必要となる書類が異なる場合もあるため、詳しくは故人名義の通帳がある銀行に問い合わせましょう。
*用意することの難しい書類もある
遺産分割協議書や相続人や被相続人の戸籍謄本は書類の作成や収集が難しいといわれています。遺産分割協議書は戸籍などから相続人を特定して書類を作成する必要があり、スムーズに作成するためには弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に依頼することが望ましいといえます。
また、戸籍謄本は市役所・区役所に行けば簡単に手に入るというイメージがありますが、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要となるなど、相続に必要な書類となるとより複雑化します。自力で書類を読み込み、必要な書類を集めることが困難な場合もあります。こちらも相続に詳しい税理士などに相談・依頼することでスムーズに書類を集められる可能性があります。
遺産分割協議で遺産分割がまとまらなかった場合、家庭裁判所で調停や審判を行って遺産分割が決定することもあります。このような場合には、銀行に以下のような書類を提出する必要があります。
*調停・審判によって遺産分割した場合の主な必要書類
故人が遺言を遺して亡くなった場合、それを基に遺産分割が行われることがあります。このような場合には、銀行に以下のような書類を提出します。
*遺言書を基に遺産分割をした場合の主な必要書類
故人が生命保険に加入していた場合、手続きを行って保険金を受け取る必要があります。保険金を受け取る際に必要となる書類は保険会社によっても異なりますが、概ね以下のとおりです。
生命保険の保険金は相続財産に含まれて、相続税がかかるものなのでしょうか?結論からいうと、保険金の受取人によって異なります。
保険金の受取人が故人以外の特定の誰かに指定されていた場合や、「相続人」と指定されていた場合には、みなし相続財産になります。ただし、契約者(保険料を支払っている人)および被保険者が被相続人の場合、保険金が法定相続人の数✕500万円以上の場合には相続税の課税価格となりますので注意が必要です。
保険金を受け取るにあたって税金が不安な場合には、税理士に相談しておくとよいでしょう。
故人の死後は、遺産分割協議や相続税申告以外にもさまざまな手続きが必要となります。スムーズに正しく手続きを行うためにも、1人で悩まずになるべく早い段階で専門家に相談することが大切です。不動産登記なら司法書士、遺産分割協議なら弁護士・司法書士・行政書士、相続税なら税理士など士業をうまく活用することを検討しましょう。
杉並・中野相続サポートセンターは税理士・行政書士が運営する会計事務所ですので、相続税申告など税に関することや不動産の売却に関するサポート、遺産分割協議書の作成など相続に関わるさまざまな業務を行っています。また弁護士・司法書士などとも協力体制があり、相続に関する手続きを幅広くサポートしています。初回相談を無料で行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。