遺産相続では「お金が振り込まれない」「いつまでも入金されない」といった不安を抱える方が少なくありません。
振り込まれない原因としては、代表相続人の対応が遅れていたり、遺産分割協議がまとまっていなかったりと、さまざまなものが考えられます。
また、預貯金や有価証券、生命保険金など、相続する財産の種類によって手続きや振込までの期間も異なります。
本記事では、遺産相続したお金が振り込まれない原因やその対処法、実際に振り込まれるまでの流れと期間について、わかりやすく解説します。
目次
相続発生後に遺産が相続人のもとに振り込まれない原因は、主に下記の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
遺産分割協議が完了していない場合には、遺産が振り込まれない場合があります。遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方について話し合うことです。
遺産分割協議で話し合い決定した内容を遺産分割協議書にまとめ、金融機関などに提出し、遺産の名義変更手続きなどを進めていきます。
したがって、遺産分割協議が完了しておらず、協議書を用意できていない場合には、金融機関の相続手続きも進めることができず、遺産を受け取れません。
相続人同士が対立しており、協議がまとまらない場合には、税理士や司法書士、弁護士などの専門家に相談してみることもご検討ください。
代表相続人が多忙で手続きを後回しにしていたり、相続に詳しくなく手続きが滞ったりしている場合には、遺産の振り込みが遅れる恐れがあります。
相続手続きでは、相続人の中から代表者を決め、金融機関とのやり取りや書類提出を行うことが一般的です。
何らかの理由で相続手続きが遅れており、代表相続人が残りの相続人に共有できていない場合には、残りの相続人は遺産がいつまでたっても振り込まれないと感じることもあるでしょう。
遺産分割協議がまとまらない原因にもつながりますが、相続人の1人が遺産を独占しようとしているケースでも、遺産が振り込まれるのが遅くなってしまいます。
例えば、被相続人と同居していた相続人が勝手に通帳を管理していたり、不動産を占有して他の相続人に情報を共有しなかったりする場合、トラブルに発展することもあるでしょう。
遺産分割協議がまとまらない場合や、遺産隠しが疑われる場合には、遺産分割調停や遺産分割審判を行う場合もあり、さらに遺産の振り込みが遅れる場合もあります。
相続発生後に遺産が振り込まれない場合には、下記の方法で対処していく必要があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
まずは、代表相続人や手続きを担当している金融機関に連絡を取り、現在の進捗状況を確認しましょう。
遺産の分割方法や振込先について、すでに合意がなされている場合でも、手続き上の不備や必要書類の未提出により、振込が保留となっているケースがあるからです。
代表相続人が何らかの理由で手続きを放置しているような状況では、催促することで動いてもらえる場合もあります。
その際には期限を指定するなどして相手方に期日を意識してもらうほか、効力ある意思表示をする方法として、内容証明郵便で「支払催告書」を送ることも有効な方法です。
代表相続人から十分な説明が得られなかったり、あるいは音信不通となっていたりする場合には、他の相続人に連絡を取り、現状について情報共有しましょう。
例えば、自分には振り込まれていないが、他の相続人には既に支払われていたといったケースも考えられますし、誰もまだ受け取っていない場合には、どこで手続きが止まっているのかを一緒に確認可能です。
原則として、相続手続きは相続人全員で合意し進めていく必要があります。そのため、代表相続人以外に働きかけ、連携を取ることで、相続手続きを効率的に進められることもあるでしょう。
話し合いによる解決が難航した場合や遺産の評価・分割内容に新たな争いが生じた場合には、家庭裁判所に対して「遺産分割調停」や「紛争調整調停」を申し立てることも検討しましょう。
これらの申立てをすれば、中立的な第三者(調停委員)のもとで、相続人同士が合意に向けた話し合いを行えます。
ただし、調停はあくまでも話し合いの場であり、それぞれが主張する内容によっては、不成立となる可能性もあります。
調停でも解決に至らなかった場合や、そもそも調停に相手が応じないような場合には、地方裁判所に対して「遺産分割請求訴訟」や「金銭支払請求訴訟」を提起する方法もあります。
例えば、遺産分割協議が既に成立しており、自分が受け取るべき金額が明確であるにもかかわらず振り込まれない場合には、「不当利得返還請求」や「債務不履行に基づく損害賠償請求」といった民事上の法的手段を取ることも可能です。
ただし、訴訟をする際には遺産を振り込んでくれない証拠などを用意する必要があるため、自分たちで準備をすることはあまり現実的ではありません。
そのため、代表相続人が遺産を振り込んでくれない段階や、遺産隠しが疑われる時点で、相続に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
遺産相続したお金が相続人の銀行口座に振り込まれるまでにかかる期間は、相続が発生し1ヶ月から数ヶ月程度かかることが一般的です。
相続人と被相続人の関係や、必要書類の収集期間によっても大きく変わってくると理解しておきましょう。
特に、故人と相続人の関係が遠い場合や、相続人の人数が多い場合には、必要書類の数も増え手続き完了までに時間がかかる可能性があります。
遺産相続で受け取ることができる金銭は、(1)預貯金や(2)有価証券、(3)生命保険金などいくつかの種類があり、それぞれ受け取りまでの流れが異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
被相続人が保有していた銀行口座の預貯金は、金融機関が口座名義人の死亡を確認すると、口座を凍結します。
銀行口座が凍結された後は、家族であっても原則引き出すことはできません。被相続人の預貯金を受け取るまでの流れは、下記の通りです。
上記の手続きが完了して初めて、銀行から相続人の口座に振り込まれます。書類の準備がスムーズに進めば1~2ヶ月程度で、遺産が振り込まれることが一般的です。
しかし、書類の不備があると手続き完了が遅れるため、ご注意ください。
株式や投資信託などの有価証券も相続対象ですが、こちらは金融機関や証券会社の手続きがより複雑な傾向があります。
銀行口座同様に、証券会社が口座名義人の死亡を確認すると、口座を凍結します。口座凍結解除および遺産振り込みまでの流れは、下記の通りです。
被相続人が所有していた有価証券については、被相続人名義で現金化できるケースは少なく、相続人名義へ変更してから現金化する流れがほとんどです。
生命保険金は、厳密には遺産ではなく受取人固有の財産として扱われます。そのため、遺産分割協議が完了する前でも、請求や受け取りが可能です。生命保険金を請求する流れは、主に下記の通りです。
生命保険金は書類に不備がなければ、数週間程度で生命保険金が振り込まれることが多いです。
相続発生後に遺産が振り込まれない原因としては、いくつか考えられます。相続はお金が絡むため、相続人同士が互いに感情的になりやすいので注意しなければなりません。
代表相続人が手続きをしていない場合や、遺産を独占しようとしている場合もある一方で、書類の不備などで手続きが遅れてしまうこともあるからです。
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遺産相続が振り込まれない原因としては、遺産分割協議が完了していない場合や代表相続人が手続きを進めていない場合などが考えられます。
万が一、遺産分割協議がまとまらない場合や、遺産隠しが疑われる場合には、調停や審判、訴訟などの手続きをする必要があるかもしれません。
書類の収集が難しかったり、何から手続きを進めたら良いかわからなかったりする場合には、相続に精通した専門家に相談することもご検討ください。