経営者の相続対策は、個人の財産だけでなく会社の財産を誰にどうやって相続させるのかも考えなければなりません。特に中小企業の経営者は相続財産のほとんどを自社株が占めるケースも多いです。
後継者を見つけ、自社株を生前贈与もしくは相続させる事業承継の計画を立てておかないと、トラブルに発展する恐れもあります。
本記事では相続に強い税理士が多数在籍する杉並・中野相続サポートセンターが事業承継で起きやすいトラブルと対処法を紹介していきます。
目次
事業承継は自社株の生前贈与、相続という大きな金銭の動きが発生するイベントです。そのため事業承継の際には様々なトラブルが起きやすく、注意が必要です。
事業承継で起きやすいトラブル7つとそれぞれの対処法を紹介していきます。
少子高齢化が進む日本では、中小企業の後継者不足に関する問題は非常に深刻です。日本政策金融公庫が発表した統計データによると、廃業理由の約3割が後継者不足が原因と示されています。
上記のケースでは後継者が見つからず、事業が上手くいっているのに廃業せざるを得ないケースもあります。
後継者が見つからないけれど事業を存続させたい場合には、M&Aによる事業承継等を検討してみても良いかもしれません。
事業承継では相続トラブルも起きやすいので対策が必要です。中小企業の経営者は相続財産のほとんどを自社株が占めるケースも多いです。
後継者に自社株をほとんど相続させることによって、他の相続人が相続に対し不平等感を持つ場合もあります。
先代経営者が突然亡くなってしまい、遺言書を作成していない場合には遺産分割協議が難航し、スムーズに後継者が自社株を相続できない可能性もあるので注意が必要です。
先代経営者は後継者を決めたら元気なうちに遺言書だけでも作成しておくのも良いでしょう。
相続トラブルにより遺産分割協議が長引く以外にも、後継者以外の相続人が遺留分を主張してトラブルに発展する場合もあります。
遺留分とは相続人が最低限度の遺産を受け取ることができる権利です。亡くなった方の配偶者や子供、両親は遺留分が認められています。
例えば後継者である長男に自社株含む全ての財産を相続させようとすると、他の子供たちが遺留分を主張する可能性があります。
遺留分を主張された場合、財産を多く受け取っている後継者は遺留分相当額を他の相続人に対し支払わなければなりません。
事業承継の場合、自社株を遺留分の計算対象から除外する特例が認められています。後の遺留分トラブルを避けたいのであれば、他の相続人の合意を得て特例の利用を検討するのも良いでしょう。
後継者選びによっては役員から反発が起き、トラブルに発展する可能性もあります。事業承継によって、先代経営者の子供2人がそれぞれ株式を取得する場合もあるでしょう。
長男 | 70% |
---|---|
次男 | 30% |
上記のように自社株を受け継いだ場合には、長男と次男が経営戦略で揉めてしまうと、最終的に次男が会社を去るケースも少なくありません。次男が会社を去る際に役員退職金の支給と自社株3割の買取を要求する場合も多いです。
事業規模によっては数億円単位で会社の資金が流出してしまい、会社の経営状態に大きな影響を与えてしまいます。
また派閥争いによって後継者以外の役員に賛同している従業員が一斉退職してしまう恐れもあります。
従業員が事業承継に理解を示さない場合や後継者選びに納得ができない場合、経営者の代替わりに伴い従業員が一斉退職してしまう恐れもあります。
従業員が一斉退職してしまうと、事業の継続そのものに影響が出かねません。
上記のリスクがありますので、事業承継時には相続人だけでなく役員や社員の理解も得るようにしておきましょう。
先代経営者が後継者に自社株を相続もしくは生前贈与したものの相続税や贈与税の負担が大きく、後継者が納税資金を用意できない可能性があります。
自社株は相続財産のひとつであり、中小企業の経営者は相続財産のほとんどが自社株を占めるケースも多いです。
贈与税や相続税は期限内の現金一括納付が原則です。後継者が納税資金を用意するために、自分の資産を手放すなんてことがないように計画を立てておきましょう。
後継者選びや自社株の生前贈与に成功したものの後継者に代替わりしてから、事業がうまくいかず業績不振に陥ってしまうケースも多いです。
事業承継後の業績不振には様々な原因が考えられます。後継者の育成不足や能力不足に関しては、事業承継までの引継ぎを丁寧に行うことで回避可能です。
事業承継は単に自社株を後継者に相続もしくは生前贈与するだけではなく、事業のあり方や社風、企業理念なども受け継ぐ必要があります。
税金対策や事業承継に関する手続きのみにとらわれてしまうと、思わぬトラブルが起きてしまうので注意が必要です。
事業承継のトラブルを回避する方法やコツを3つ紹介していきます。
事業承継は法律や税務、経営に関する高度な知識が必要です。経営者自身が手続きや計画を立てるのではなく、税理士やM&A仲介会社などの専門家を頼るのが良いでしょう。
経営者や後継者が事業承継の計画立案や手続きに奔走してしまい、肝心の会社経営が疎かになってしまうのは本末転倒です。
事業承継は先代経営者が元気なうちから計画を立てておきましょう。先代経営者が突然亡くなってしまうケースでは、遺言書も作成されていなく後継者すら選びきれていないなんて場合もあります。
このようなケースでは遺産分割協議や自社株の相続が難航してしまうと予想できます。
事業承継を円滑に進め、従業員や取引先への影響を少なくするためにも事業承継計画は早めに立てておくのが良いでしょう。
中小企業の事業承継を円滑に進めるために、様々な制度や特例が用意されています。代用的な制度や特例は以下の通りです。
これらの特例は必要書類も多く手続きも複雑です。
制度や特例を利用しようと思ってもすぐに手続きできるわけではないので「制度を利用したい」と思った段階で税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。
事業承継対策は先代経営者や後継者自身で行うのではなく、知識や経験豊富な専門家に相談するのがおすすめです。
事業承継に詳しい税理士であれば、相続税や贈与税の節税に役立つ事業承継税制の手続きをサポートできます。
杉並・中野相続サポートセンターでも、事業承継に関する相談をお受けしています。
事業承継だけでなく相続税対策も合わせて行えるので、会社の資産だけでなく個人の財産の節税対策でもお役に立てます。
杉並・中野相続サポートセンターは西荻窪駅・徒歩1分に事務所を構え、下記エリアを中心とした地域密着の相続相談を承っています。ぜひご相談ください。
中小企業の経営者は相続財産のほとんどを自社株が占めるケースも多く、事業承継を行う際には相続税や贈与税対策をしておく必要があります。
また後継者以外にも法定相続人がいる場合には、相続や生前贈与に関して不公平感を持たれないように対策をしておくのが良いでしょう。
事業承継では大きなお金が動くので、トラブルも起きやすく事前に様々なトラブルを想定しておくのが望ましいです。
先代経営者のみの判断で事業承継を行おうとすると、トラブルの可能性に気付けず上手くいかない可能性もあります。
事業承継を成功させ、会社をずっと発展させていくためには事業承継に詳しい専門家に相談することもご検討くださいませ。