相続税の申告期限は「相続開始から10ヶ月以内」と決められています。被相続人と相続人が疎遠であり、亡くなったことを知るのに時間がかかったケースなどでは相続税の申告期限の延長が認められます。
一方で、遺産分割協議が完了していないなどの理由で相続税の申告期限を延長することはできません。
また、相続税の申告期限は納税期限でもあります。したがって、相続財産が土地しかないケースなどでは申告書の作成だけでなく納税資金も用意しましょう。
本記事では、相続税の申告期限や間に合わないときの対処法を相続に強い税理士が多数在籍する杉並・中野相続サポートセンターが解説します。
目次
相続税には「相続開始から10ヶ月以内」と申告期限が設定されています。例えば、令和5年5月1日に家族が亡くなった場合の相続期限は、令和6年2月1日です。
なお、申告期限が土日祝日に当たる場合は、その翌日が相続税の申告期限となります。贈与税の申告や確定申告と異なり、毎年決まった時期に申告するわけではないのでご注意ください。
関連サイト国税庁「No.4205相続税の申告と納税」
相続税の申告期限は原則として延長が認められていません。例外的に延長が認められるケースは、主に下記の通りです。
相続税の申告期限は「自分が相続人であると知ってから」もしくは「自分が財産を受け継ぐことが確定してから」10ヶ月以内と決められています。
そのため被相続人と疎遠であり亡くなったことを知らず、自分が相続人であることも知らなかった場合は相続税の申告期限の起算点がずれる場合があります。
一方で、相続人全員で行う遺産分割協議が完了していないなどの理由で相続税の申告期限に間に合わない場合は期限の延長が認められません。
遺産分割協議を行うためには、相続人調査や相続財産調査が必要です。
相続人調査や相続財産調査は様々な資料を集める必要があり時間がかかるため、相続発生後はできるだけ早めに準備を始めましょう。
相続税の申告期限は納付期限でもあります。したがって、相続開始から10ヶ月以内には相続税の申告書を提出するだけでなく、計算した金額の相続税を納付しなければなりません。
相続財産のほとんどを不動産が占めている場合には、相続税の申告書作成とあわせて納税資金の準備も進めておきましょう。
相続税は現金一括納付が原則であり、分割払いや現金以外の財産での納付は認められていません。
どうしても現金一括納付ができない場合は、延納や物納も認められていますが、期限内申告とあわせて延納や物納の申請が必要です。
そのため、相続税を現金一括納付できない場合は、申告書作成とあわせて延納や物納の申請手続きもしなければなりません。
関連サイト国税庁「3.相続税の納付」
相続税の申告期限を守れないと、相続税の控除や特例を利用できず税負担が増える、延滞税などのペナルティが発生するなどのデメリットがあります。
相続税の申告期限を守れない場合のデメリットは、下記の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
相続税には小規模宅地等の特例や相続税の配偶者控除などの控除や特例が用意されています。
これらの控除や特例は相続税の期限内申告が適用要件に含まれます。
そのため、控除や特例を利用し相続税額が0円になったとしても相続税の申告書を提出しなければなりません。
相続税がかからないから申告が不要だと誤解して申告しないでいると、適用要件を満たせず控除や特例を適用できなくなってしまいます。
結果として相続税の金額が増え、税負担が重くなってしまうので注意しなければなりません。
相続税の申告期限を守れないと、延滞税や過少申告加算税などのペナルティが発生します。発生するペナルティは、主に下記の4種類です。
ペナルティ | 概要 |
---|---|
延滞税 | 納税が遅れたときに発生する |
過少申告加算税 | 相続税を少なく申告した場合に発生する |
無申告加算税 | 相続税を申告期限までに申告しなかった場合に発生する |
重加算税 | 脱税目的で財産隠しなどをした場合に発生する |
相続人のうち1人でも相続税を申告、納付せずにいると残りの相続人に催促が届きます。相続税には連帯納付義務があり、各相続人が相続税を連帯して納めなければならないと決められているからです。
「自分はきちんと相続税を支払ったのに」と残りの相続人が不満に思う可能性も高いですし、最終的には申告期限を守らなかった相続人のかわりに相続税を納付しなければならなくなります。
期限を守らず相続税を申告、納税しないで催促を無視し続けると、最終的に財産を差し押さえられ相続税を回収されてしまいます。
最初に財産を差し押さえられる人は相続税を納めるべき相続人ですが、相続税には連帯納付義務があるので他の相続人の財産も差し押さえになる可能性もゼロではありません。
遺産分割協議が完了せず相続税の申告期限に間に合わないときには、未分割でも法定相続分で遺産分割したとして相続税の申告をするのが良いでしょう。
納税資金を用意できない場合は、クレジットカードによる納付や延納、物納を検討しましょう。相続税の申告期限に間に合わないときの対処法は、主に下記の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
相続税の申告期限までに遺産分割協議が完了しない場合は、未分割の状態でも良いので相続税の申告書を提出しましょう。その場合は、民法に規定されている相続分により計算された金額で期限内に申告と納付をします。
未分割の状態で申告書を提出した場合、小規模宅地等の特例や相続税の配偶者控除は適用できません。
ただし、申告書提出時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、遺産分割協議が完了した後に申告書を提出し直せます。
関連サイト国税庁「申告期限後3年以内の分割見込書」
遺産分割協議完了後に相続税の申告書を提出し直したことにより、相続税額が変わった場合は修正申告や更生の請求を行います。
修正申告や更生の請求の期限は、遺産分割完了後から4ヶ月以内なのでご注意ください。
相続税の納税資金が用意できずお悩みの人は、クレジットカード納付もご検討ください。
クレジットカードを利用すれば、手元に現金がなくても相続税を納付できるほか、分割払いとするなどして負担感を抑えることもできます。
一方で、相続税をクレジットカードで納付すると下記のデメリットがあります。
クレジットカード納付では決済手数料がかかり、クレジットカード利用によって発生するポイントよりも手数料が上回ることも珍しくありません。
クレジットカード払いをする際には、カード会社のポイント規定などを確認しておきましょう。
関連サイト国税庁「G-2-4クレジットカード納付の手続」
相続税をどうしても支払うことが難しい場合は、延納や物納をご検討ください。延納が認められれば相続税を分割払いできますし、物納が認められれば相続税を不動産や有価証券などで納税できます。
関連サイト国税庁「No.4211相続税の延納」
ただし、延納や物納はすべてのケースで認められるわけではなく手続きが必要です。ミスなく手続きを行いたい人は、相続税に詳しい税理士への相談がおすすめです。
相続税の申告期限は原則延長できないため、相続人が自分で申告書を作成していては間に合わないと予測される場合は、相続税に精通した税理士に相談するのが良いでしょう。
相続に強い税理士であれば、相続税の計算や申告を期限内に行うだけでなく、利用できる控除や特例を漏れなく活用し相続税を節税できます。
相続税の期限内申告を行いたい人は、相続に強い税理士が多数在籍する「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。
当サポートセンターは西荻窪駅から徒歩1分の便利な場所に事務所があり、開業して30年以来、2,500件を超える相続の相談をお受けしてきました。弁護士・司法書士などの専門家と協力体制を取りながら、ご相談者様の相続手続きをワンストップでサポート可能です。