被相続人が所有していた上場株式は相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。
また、上場株式にかかる相続税を計算する際には、事前に被相続人が所有していた上場株式の相続税評価額を計算しなければなりません。
上場株式の相続税評価額は「基準価格×株数」で計算可能です。
基準価格は相続人が調べ計算することも可能ですが、保有株式の種類が多い場合や不安な場合は、税理士に相談することを検討しても良いでしょう。
本記事では、上場株式の相続税評価額の計算方法や計算時の注意点を解説します。
目次
被相続人が上場株式を所有していた場合、相続税評価額を計算しなければなりません。上場株式の相続税評価額は「下記の価格のうち最も低いもの×株数」で計算可能です。
具体例を見ていきましょう。
上記のケースでは、最も価格が低い950円が基準となります。例えば、被相続人が1,000株所有していた場合の相続税評価額は「950円×1,000株=950,000円」です。
上記の基準日や基準期間の終値は、証券会社への問い合わせや株価情報サイトなどで調べられます。
上場株式の相続税評価額を調べるためには、被相続人が保有していた株式の情報を把握した上で、基準日や基準期間の終値を調べる必要があります。
被相続人が所有していた株式に関する情報を調べたいのであれば、被相続人が取引していた証券会社に連絡しましょう。残高証明書の発行を依頼すれば、保有株式に関する情報や相続開始日の終値を確認可能です。
証券会社によっても異なりますが、残高証明書を発行するには、下記の情報が必要となることが多いです。
また、残高証明書の依頼と共に、証券会社の相続手続きや必要書類について確認しておくことをおすすめします。
そして、相続開始月や前月、前々月の終値の平均価格を知りたい場合は、インターネットで株価を検索するのが手軽です。
被相続人が株取引を行っていたことは知っているものの利用していた口座がわからない場合は「証券保管振替機構(ほふり)」に問い合わせましょう。
関連サイト「証券保管振替機構」
証券保管振替機構では、証券口座の統一管理が行われており、特定の条件を満たせば郵送で手続きすることで利用していた証券会社や信託銀行等を教えてもらえます。
そして、取引のある証券会社等が特定できたら先ほど解説したように、各証券会社にて問い合わせをして保有銘柄や株価を確認し、相続手続きを進めていきましょう。
証券保管振替機構に問い合わせをする際に必要な情報は、下記の通りです。
相続開始日が平日の場合や被相続人が一般的な株取引のみを行っていた場合、先ほど紹介した方法で相続税評価額を計算すれば良いので、それほど難しくありません。
しかし、相続開始日が土日祝日の場合や相続開始前後で配当金の受け取りがあった場合は、扱いに注意する必要があります。
本章では、上場株式の相続税評価額を計算する際に注意すべきことを解説します。
相続開始日が土日祝日にあたる場合、株式市場が休場となっており、その日の終値を直接取得することができません。
この場合、直近の取引日である前営業日の終値を基準日として評価額を計算します。
相続開始日前後に新株割当てや配当金の支払いがある場合は、終値の計算が複雑になるのでご注意ください。
というのも、新株割当てや配当金は基準日に株式を保有している必要があり、基準日を過ぎるとその翌営業日は権利落ち日となり株価が下がることが多いです。
権利落ちによる株価の下落について考慮するために、相続開始日が権利落ち日前後だった場合、終値や平均終値を特殊な方法で計算する必要があります。
相続人が自分で計算することは難しいため、相続に詳しい税理士に相談するのが良いでしょう。
被相続人が1単元未満の株式を保有していた場合も、通常の上場株と同様に下記の価格の最も低い価格×株数を相続税評価額として扱います。
なお、1単元未満の株は証券口座ではなく特別口座にて保管されており、相続手続きや相続税申告の際に漏れてしまう場合があります。
1単元未満の株であっても相続税申告の対象に含める必要があり、漏れてしまうと過少申告加算税などのペナルティが発生するのでご注意ください。
一部の上場株式は、複数の取引所に上場している場合があります。この場合、どの取引所の価格を使用して相続税評価額を計算するか、相続人が自由に選択できます。
相続発生直前に被相続人が株式を売却していた場合、売却済みの株式は相続税の課税対象とはなりません。
ただし、売却代金を受け取る権利である「売買代金請求権」と呼ばれる貸付金債権として相続税の課税対象となります。
したがって、相続発生直前に被相続人が株式を売却していた場合は、本記事の前半で解説した方法で相続税評価額を計算するのではなく、単純に売却代金が相続税評価額となるのでご注意ください。
なお、売却代金の決済がすんでいない場合は、相続開始日の残高証明書に株式や売却代金に関する情報が記載されない場合もあります。
そのため、売却代金が相続税申告で漏れてしまう可能性があるので注意しなければなりません。
被相続人が上場株式を所有していた場合、相続税申告だけでなく上場株式の相続手続きも行う必要があります。
上場株式の相続手続きの流れは、下記の通りです。
上場株式の場合、被相続人が利用していた証券会社にて名義変更手続きをする必要があります。株式を受け継ぐ相続人も証券口座の開設が必要なのでご注意ください。
関連記事株の相続方法と必要書類について
上場株式は相続財産に含まれるため、被相続人が保有していた場合は相続税を計算しなければなりません。
上場株式は相続開始日や相続開始日の当月、前月、前々月の終値を確認し、相続税評価額を算出する必要があります。
保有している株式の種類が多い場合やそもそも被相続人が株取引をしていたかわからない場合は、相続税の計算や申告が難しい場合もあるでしょう。
上場株式を相続した場合の相続税申告や手続きは、相続に強い税理士や専門家が多数在籍する「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。
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被相続人が上場株式を所有していた場合は、上場株式の相続税評価額を算出し相続税を計算しなければなりません。
上場株式の相続税評価額を計算するには、下記のうち最も低い価額×株数で計算可能です。
保有株式さえわかれば相続人が自分で相続税評価額を計算できるはずです。
ただし、相続開始日が土日祝日の場合や新株割当て・配当金の権利落ち前後だった場合は、計算が複雑になるのでご注意ください。
相続財産調査から任せたい、ミスなく相続税申告をしたい場合は、相続に詳しい税理士に相談することもおすすめします。