被相続人が所有していた投資信託は、相続財産に含まれる遺産分割や相続税の課税対象となります。
関連サイト一般社団法人投資信託協会「そもそも投資信託とは?」
ただし、投資信託は口数を単位としており1円単位で遺産分割することはできません。投資信託の遺産分割や名義変更をしないでいると、相続人全員の共有状態となるのでご注意ください。
本記事では、投資信託を相続したときの手続きの流れや相続税評価額の計算方法、手続き時の注意点を解説します。
目次
被相続人が所有していた投資信託は、遺産分割の対象となります。投資信託の相続時の取り扱いを詳しく見ていきましょう。
先ほど解説したように、投資信託は相続財産に含まれます。
ただし、預貯金などと異なり投資信託は口数単位で管理されるため、当然分割されず遺産分割協議などで誰がどれくらいの割合を相続するかを決定しなければなりません。
先ほど解説したように、投資信託は遺産分割が必要であり、手続きをしないでいると相続人全員の共有状態となってしまいます。
共有状態の投資信託を売却する際には、相続人全員の同意が必要になるなど煩雑な手続きが必要になります。
加えて、被相続人名義の証券口座に保管されている投資信託は、そのままでは売却できない点にも注意しなければなりません。
投資信託を相続したときには、被相続人が利用していた証券会社や金融機関にて手続きを行います。具体的な手続き方法は、下記の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは、被相続人が利用していた証券会社や金融会社に口座名義人が死亡したことを連絡しましょう。被相続人が利用していた証券会社や金融機関がわからない場合は、自宅などに証券会社から届いた書類などがないか確認してみましょう。
被相続人が利用していた証券会社や金融機関に口座名義人の死亡を連絡すると、証券口座が凍結されます。同時に相続税の計算や遺産分割協議で使用する残高証明書も取得しておきましょう。
関連サイト松井証券「残高証明書とは何ですか。 」
続いて、相続人全員で遺産分割協議を行い、投資信託を誰がどれくらいの割合で受け継ぐか決定しましょう。
なお、被相続人が遺言書を用意していた場合は、遺言書の内容に従って遺産分割します。遺産分割協議の内容がまとまったら、遺産分割協議書を作成しましょう。
遺産分割方法が決定したら、証券会社や金融機関にて、投資信託の名義変更手続きを行いましょう。名義変更手続きに必要な書類は、主に下記の通りです。
証券会社や金融機関によっては、必要書類が異なる場合もあるので必ず事前に確認しておきましょう。
名義変更完了後は、相続人の証券口座に投資信託を移管します。相続人は被相続人が利用していた証券会社や金融機関で口座開設をすませておく必要があるのでご注意ください。
関連記事株の相続方法と必要書類について
被相続人が遺した投資信託は、相続税の課税対象となります。投資信託の種類によって、相続税評価額の計算方法が異なる点にご注意ください。
種類ごとの相続税評価額の計算方法を見ていきましょう。
MRFやMMFなどといった日々決算型の投資信託の相続税評価額は下記のとおりです。
1口当たりの基準単価×口数+再投資されていない未収分配金-未収分配金に課税される源泉所得税-信託財産留保額および解約手数料
1口当たりの基準単価は、原則として1円です。
関連サイト大和証券「金融・証券用語解説 [日々決算型ファンド] 」
REITやETFなどといった上場している投資信託は、上場株式同様に「相続発生時の株価×株式数」で計算できます。
相続発生時の株価は、下記のうちもっとも低い金額とすることができます。
過去の終値はインターネットなどで確認するか、証券会社に問い合わせましょう。
関連サイト日興アセットマネジメント株式会社「ETFとは? | ETF(上場投資信託)」
これまで解説した投資信託以外は一般的な投資信託に分類され、大半の投資信託がこれに外瘻します。一般的な投資信託は「1口当たりの基準単価×口数」で相続税評価額を計算します。
ただし、公表されている基準単価は1万口が多いので、1万で割って相続税評価額を計算します。計算式で表すと、下記の通りです。
(1口当たりの基準単価×口数)÷10,000-相続発生日に売却した場合にかかる源泉所得税-信託財産留保額・解約手数料
このように、投資信託の相続税評価額は種類によって計算方法が異なり、非常に複雑です。
相続税の計算や申告を間違えないためにも、遺産に投資信託があった場合は、相続に詳しい税理士に相談しましょう。
投資信託を相続する際には、どの時点の価格にて遺産分割を行うか相続人同士でトラブルが起きる場合があります。
他にも、投資信託を売却した際には所得税や住民税がかかる点にもご注意ください。投資信託を相続するときの注意点は、それぞれ下記の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
投資信託は資産の性質上、日々の価格変動があります。投資信託は遺産分割時点の時価で分割するのが原則ですが、遺産分割時から名義変更をするまでに価格が大きく動く可能性もゼロではありません。
遺産分割時から名義変更までに投資信託の価格が大きく変わってしまうと、不公平感を抱く相続人もいるでしょう。
相続人同士のトラブルを避けるには、遺産分割協議書に投資信託の評価方法や基準日を記載しておくことをおすすめします。
相続した投資信託を売却し利益が出たときには、利益に対して20.315%の所得税、住民税がかかります。相続した投資信託を売却して現金化する際には、税金についても考慮しておきましょう。
関連サイト国税庁「No.1440譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) 」
投資信託は相続手続きの際に解約扱いとなり、解約違約金が発生する場合があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
遺産のうち投資信託が占める割合が多く、代償分割を選択する場合はその旨を遺産分割協議書に記載しておきましょう。
代償分割を行うことを遺産分割協議書に記載していないと、支払った代償金に対して贈与税がかかる恐れもあるからです。
関連サイト国税庁「No.4173代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」
投資信託を相続したときには、遺産分割協議や相続税申告などの手続きが必要です。証券会社や金融機関が被相続人の死亡を知ると、証券口座を凍結し投資信託の売買を行えなくなってしまいます。
そのため、相続発生後はできるだけ早く相続手続きを進めるのが良いでしょう。遺産に投資信託が含まれるときの相続税申告についてお悩みの人は、「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。
当サポートセンターでは開業して30年以来、2,500件を超える相続の相談をお受けしてきました。弁護士・司法書士などの専門家と協力体制を取りながら、ご相談者様の相続手続きをワンストップでサポート可能です。
杉並・中野相続サポートセンターは西荻窪駅・徒歩1分に事務所を構え、下記エリアを中心とした地域密着の相続相談を承っています。ぜひご相談ください。
被相続人が所有していた投資信託は相続財産に含まれ、名義変更手続きや相続税申告を行う必要があります。
なお、投資信託は1口あたりの単位となっているため、当然分割されず遺産分割協議を行わなければなりません。遺産分割協議が難航してしまうと、その後の名義変更手続きや相続税申告にも支障をきたすので早めに行っていきましょう。
また、投資信託の相続税評価額を計算する方法は、非常に複雑であり、相続人自ら行うのはあまり現実的ではありません。相続に詳しい税理士に相続税申告や手続きを任せることをおすすめします。