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事業承継税制の平成30年度の改正内容とは?制度活用時の注意点も紹介

平成21年度の税制改正によって、事業承継税制が新設されましたが、制度の適用要件は厳しく申請する経営者は多くありませんでした。

しかし中小企業の深刻な後継者不足の影響を受けて、平成30年度の税制改正で事業承継税制の適用要件が大幅に緩和されました。

これまで適用要件を満たしていなかった中小企業や制度を利用するメリットが薄いと感じていた経営者も利用を検討してみてはいかがでしょうか。

本記事では事業承継税制の平成30年度の税制改正内容をわかりやすく解説していきます。

事業承継税制が税制改正された理由

そもそも事業承継税制は平成21年に新設された後、何度か税制改正によって制度の内容が変更されています。

しかし適用要件が厳しく、手続きも複雑で手間がかかるので制度を活用したい経営者が少なかったのが現状です。

そんな事業承継税制が平成30年度の税制改正によって、大幅に条件が変更された背景を解説していきます。

中小企業の後継者不足が深刻化している

中小企業の後継者不足は何年も前から深刻化していますが、解決されたとはいえません。

後継者不足の原因のひとつである少子高齢化が解決されない以上、後継者不足の問題も解決が難しいのですが、中小企業庁では後継者不足解決に向けて様々な制度を用意しています。

事業承継税制もそのひとつです。

中小企業の後継者問題を少しでも解消するために、平成30年度の税制改正によって事業承継税制の条件が緩和されました。

事業承継税制の申請が少ない

事業承継税制は平成21年度の税制改正によって新設されましたが、申請者はそれほど多くない状態が続いていました。

「平成29年度税制改正に関する経済産業省要望」によると、平成21年から平成28年3月までに事業承継税制が認定された件数は以下の通りです。

  • 相続:894件
  • 贈与:626件

中小企業は、日本全国で350万社あるといわれています。

単純に計算しても全国の中小企業の0.04%しか事業承継税制が認定されていないことになり明らかに少ない結果といえるでしょう。

制度を新設したものの手続きが複雑でわかりにくく申請者が少ないので、平成30年の税制改正によって制度の緩和をしたものと思われます。

事業承継税制の平成30年度改正内容

平成30年度の税制改正によって事業承継税制は、大幅に緩和され制度を活用しやすくなりました。

主な改正内容は以下の5つです。

  1. 納税が猶予される後継者が1人から3人に増加された
  2. 相続や生前贈与で取得した株式全てが猶予の対象になる
  3. 先代経営者以外からの株式の承継も猶予の対象になる
  4. 雇用8割を下回っても納税猶予が認められる
  5. 売却・廃業による猶予取り消しでは税金を減免してもらえる

それぞれ詳しく解説していきますね。

納税が猶予される後継者が1人から3人に増加された

事業承継税制の特例措置では、納税が猶予される後継者の数が1人から3人に増えました。

従来の事業承継税制では、先代経営者の息子1人などのように納税猶予を適用できる後継者の数が限定されました。

特例措置では、後継者の数を3人まで増やせるようになったので、長女と長男の2人に自社株を生前贈与することも可能です。

相続や生前贈与で取得した株式全てが猶予の対象になる

従来の事業承継税制では、先代経営者から後継者に対して相続もしくは生前贈与した自社株のうち、発行済み株式の3分の2までしか納税猶予が認められませんでした。

それに対して、特例措置では相続や生前贈与した自社株の全てが納税猶予の対象になりました。

先代経営者以外からの株式の承継も猶予の対象になる

特例措置では、先代経営者以外の株主からの自社株を承継した場合にも、納税猶予の対象になります。

そのため事業承継税制の適用に伴って、後継者に自社株を集中させることもしやすくなりました。

雇用8割を下回っても納税猶予が認められる

特例措置によって、事業承継税制の適用要件の中でも、特に守り続けるのが大変な雇用維持条件が緩和されました。

従来の事業承継税制では、制度適用後の5年間は雇用の8割維持が条件でした。

  • 毎年、雇用維持条件が判定される
  • 1回でも8割維持できていなかったら事業承継税制は打ち切られる

上記のように厳しい条件で、制度の利用を避ける経営者も多かったのですが、特例措置では以下のように条件が緩和されています。

  • 5年間の平均で雇用8割維持が条件
  • 経営条件の悪化など、正当な理由があれば雇用8割維持を下回ってもOK

特に雇用8割維持を下回ったとしても、雇用を維持できない理由を説明する書類を都道府県に提出すれば、打ち切りを回避できるのが事業者にとって大きな魅力となりました。

売却・廃業による猶予取り消しでは税金を減免してもらえる

従来の事業承継税制では、経営悪化などによる事業や会社の売却をした場合でも、事業承継税制打ち切りと判断され、猶予してもらっていた税金の納税義務や利子税が発生していました。

そのため事業承継税制を利用していた会社が廃業すると、莫大な納税義務が残ってしまい後継者のその後の経済状況に大きな影響を与えるケースも少なくありませんでした。

しかし特例措置では、売却や廃業による納税猶予取り消しの場合は、一定の範囲内で税金を免除してもらえます。

万が一、制度を利用した後継者が事業を畳むことになったとしても、税負担を減らせるのがメリットです。

事業承継税制を適用するときにすべきこと

平成30年度の税制改正によって、条件が緩和された事業承継税制はずっと続くわけではなく、平成30年1月1日から10年間のみの特例措置です。

条件が緩和され使いやすくなった事業承継税制の特例措置を利用するときにすべきことを解説していきます。

特例承認計画の作成・提出

事業承継税制の特例措置を適用するには、特例承認計画を作成し提出しなければなりません。

特例承認計画は令和6年3月31日までに提出する必要があります。

  1. 特例承認計画の作成及び提出
  2. 確認申請書の提出

上記の流れで事業承継税制の特例措置を適用できると覚えておきましょう。

「事業承継を利用するかわからない」「適用したいけど準備ができていない」という経営者は、とりあえず特例承認計画だけでも出しておくことをおすすめします。

事業承継税制に詳しい税理士へ相談

事業承継税制は認定され、相続税や贈与税が猶予された後も適用後の5年間は毎年、6年目以降は3年に1度書類を提出しなければなりません。

書類の提出期限に間に合わないと、その時点で納税猶予は打ち切られ利子税と共に納税義務が生じます。

長年にわたる事業承継税制の手続きをミスなく行うためにも、事業承継税制に詳しい税理士に相談するのが良いでしょう。

事業承継税制は当サポートセンターにご相談ください

事業承継税制は平成30年度の税制改正によって、大幅に使いやすくなりました。

しかし平成30年度以降に用意された事業承継税制の特例措置を利用するためには、令和6年3月31日までに特例承認計画を作成し、提出しなければなりません。

また事業承継税制を認定された後は、納税猶予を打ち切られないように継続して認定要件を守り続ける必要があります。

事業承継税制の認定や継続は、必要な手続きも多く専門的な知識も必要なので、経営者や後継者が個人で行うのはあまり現実的ではありません。

相続や事業承継税制に詳しい税理士に相談し、サポートしてもらうのがおすすめです。

杉並・中野相続サポートセンターでは、事業承継税制や相続税対策に関する相談を受け付けています。

当サポートセンターでは、事業承継税制の適用だけでなく、先代経営者個人の財産もあわせて相続税対策が可能です。

当サポートセンターの対応エリアは以下の通りです。

  • 杉並区
  • 中野区
  • 練馬区
  • 世田谷区
  • 三鷹市
  • 武蔵野市
  • 西東京市

初回利用者向けの無料相談会も行っていますので、まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。

まとめ

事業承継税制自体は、平成21年度の税制改正によって設立されました。

事業承継によって発生する相続税や贈与税を猶予もしくは免除できる制度ですが、手続きが複雑かつ適用要件が厳しく利用する経営者が少ないのが現状でした。

しかし、平成30年度の税制改正によって用意された事業承継税制の特例措置では、利用範囲が拡大され使い勝手が良くなっています。

特例措置を利用するためには、令和6年3月31日までに特例承認計画を作成し提出する必要があります。

事業承継税制の適用手続きや認定を受け続けるためには、専門的知識も必要です。

必要に応じて、相続や事業承継税制に詳しい税理士などの専門家に相談することもご検討くださいませ。