相続手続きを進めていく際に、「戸籍を何通も集めて提出するのが大変」と感じる方は少なくありません。実際、相続登記や金融機関の手続きでは、同じ戸籍一式の提出を何度も求められるケースが多く、時間や手間がかかりがちです。
このような負担を軽減できる制度が、法定相続情報一覧図であり、相続関係を一覧で示し、相続登記や金融機関の手続きなどに幅広く利用できます。
法定相続情報一覧図は、専門家に依頼しなくても自分で作成することが可能です。
本記事では、法定相続情報一覧図の概要や、自分で作成する際の流れ、注意点を杉並区で30年以上の実績があり、相続に強い税理士が多数在籍する杉並・中野相続サポートセンターが詳しく解説します。
目次
法定相続情報一覧図とは、被相続人と法定相続人の関係を、戸籍情報にもとづいて一覧化した図表です。
2017年から制度化され、所定の手続きを行うことで、登記や金融機関手続きで戸籍謄本一式の代わりとして使える公的な証明資料になります。
作成にあたっては、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の戸籍を収集し、相続関係が分かるよう図式化します。
法定相続情報一覧図を作成する最大のメリットは、相続手続きの手間と時間を大きく減らせることです。
通常、金融機関ごとや不動産ごとに戸籍一式の提出を求められますが、法定相続情報一覧図があれば、その写しを提出するだけで足ります。戸籍の束を何通もコピーする必要がなくなり、手続きミスや不足書類による差し戻しも減ります。
他にも、相続関係を客観的に整理できる点も魅力です。相続人が多い場合や、再婚・代襲相続が絡むケースでは、誰が相続人なのか分かりにくくなりがちですが、一覧図を作成すれば、相続人全員が状況を共有しやすくなります。
法定相続情報一覧図は専門家に依頼するだけでなく、自分で作成することも可能です。作成する際には、以下のような流れで行うことが一般的です。
それぞれ詳しく解説していきます。
最初のステップは、戸籍関係書類の収集です。具体的には、以下のような書類が必要になります。
戸籍は本籍地の市区町村役場で取得しますが、転籍や改製があると複数の自治体に請求が必要になることもあります。
ここで戸籍が一つでも欠けていると、法定相続情報一覧図は作成できないので漏れなく収集することが大切です。
必要書類がそろったら、戸籍の内容をもとに法定相続情報一覧図を作成します。一覧図には、被相続人を起点として、配偶者や子、代襲相続人などの関係を家系図のように整理して記載します。
様式は法務局のホームページで公開されている記載例を参考にするとよいでしょう。
関連サイト法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」
パソコンで作成しても、手書きでも構いませんが、氏名・続柄・生年月日・死亡日などは戸籍どおり正確に記載する必要があります。
一覧図とあわせて提出するのが「法定相続情報一覧図の保管及び写しの交付の申出書」です。
関連サイト法務局「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」
申出書には、被相続人の氏名・本籍・最後の住所、申出人の情報を記載します。
申出人は相続人の1人で構いませんが、一覧図の内容について全相続人を代表して申し出る立場になるため、事前に相続人間で認識を共有しておくと安心です。
最後に、作成した書類一式を管轄の法務局へ提出します。管轄は被相続人の最後の本籍地や住所地、不動産の所在地などから選択できます。
提出方法は窓口持参または郵送が可能で、手数料はかかりません。内容に問題がなければ、後日「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。
専門家の手を頼らず法定相続情報一覧図を作成する場合には、以下のようなことに注意しましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
法定相続情報一覧図を作成するときに、最も重要なことは、戸籍通りに正確に記載することです。
氏名の漢字や旧字体、生年月日、死亡日、続柄などは、一文字でも誤りがあると補正対象になります。
特に注意したいのが、戸籍上の表記と日常で使っている表記の違いです。例えば、「髙」と「高」、「﨑」と「崎」などは見落とされがちですが、戸籍上の表記と完全に一致させる必要があります。
法定相続情報一覧図は、提出すれば必ず一発で受理されるわけではありません。提出後、法務局の審査で内容確認が行われ、誤りや不足がある場合は補正を求められます。
補正内容として多いものは、主に以下の通りです。
補正は決して珍しいことではなく、自分で作成した場合は特に起こりやすいのでご注意ください。補正があっても制度自体が使えなくなるわけではなく、指摘に従って修正すれば問題ありません。
すべての金融機関が法定相続情報一覧図の提出に対応しているわけではないことも理解しておきましょう。
独自の相続手続きを採用している金融機関では、従来通り戸籍謄本一式の提出を求められることがあります。
そのため、一覧図を作成する前に、主要な相続手続き先(銀行・証券会社・保険会社など)で法定相続情報一覧図が利用できるか事前確認しておくと安心です。
最後に法定相続情報一覧図の作成について、よくある質問を回答とともに紹介します。
法定相続情報一覧図は、法務局で原本を保管した上で、その「写し」を必要な部数だけ交付してもらう仕組みです。
写しは複数部を無料で取得できるので、相続登記や金融機関、証券会社など、複数の手続きを同時に進める際に非常に便利です。
申出の際には、申出書に「何部必要か」をあらかじめ記入しておく必要があります。後から追加で取得することも可能ですが、最初に必要部数を想定して申請しておくと手間を減らせます。
法定相続情報一覧図自体には、法律上の有効期限は定められていません。そのため、原則として一度交付されれば、将来にわたって使用することが可能です。
ただし実務上は、金融機関や証券会社、保険会社などの手続き先によって、「発行日から○ヶ月以内のもの」といった独自の期限を設けているケースがあります。
そのため、相続手続きを始める前に、提出先ごとに有効期限の指定があるか確認しておくと安心です。
申出書はパソコンで作成できます。法務局のWebサイトから、Word形式またはPDF形式の申出書様式をダウンロードし、必要事項を入力・印刷して使用することが可能です。
もちろん、様式に沿っていれば手書きで作成しても問題ありません。ただし、法定相続情報一覧図は記載内容が多いため、読みやすさや記入ミス防止の観点からパソコン作成を選ぶ方が一般的です。
いずれの場合も、内容に不備がないよう、提出前にしっかり確認しましょう。
相続人の人数が多い場合や関係性が複雑な場合には、法定相続情報一覧図を作成すれば相続手続きを進めやすくなります。
とはいえ、相続手続きは多岐にわたるため、法定相続情報一覧図を作成したものの何から始めればよいかわからないといったこともあるでしょう。
相続手続きの進め方に不安を感じる場合や、ミスなく確実にこなしたい方は、相続に強い税理士や専門家が多数在籍する「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。
杉並・中野相続サポートセンターは西荻窪駅・徒歩1分に事務所を構え、下記エリアを中心とした地域密着の相続相談を承っています。ぜひご相談ください。
法定相続情報一覧図は、相続関係を公的に証明できる便利な制度であり、相続手続きをスムーズに進める上で大きな助けとなります。
自分で作成すれば費用を抑えられる一方、戸籍の収集や記載内容の正確性には注意が必要です。
相続の状況や手続きの期限を踏まえ、必要に応じて専門家のサポートも検討しながら、無理のない形で相続手続きを進めていきましょう。