相続手続きを進める際、預貯金の確認で必ず関わってくるのが「残高証明書」です。
しかし、いつの時点の証明書を取得すべきか、どのように請求するのか、注意点は何かなど、実務上は迷いやすいポイントが多くあります。
本記事では、残高証明書の基本的な役割から必要になる場面、取得方法、注意点について解説します。
目次
残高証明書とは、金融機関が特定の時点における預貯金口座の残高を証明する書類です。
相続においては、被相続人が亡くなった日(死亡日)時点の残高を証明するために取得するのが一般的であり、金融機関名・支店名・口座番号・名義人・基準日・残高などが記載されます。
通帳の記帳内容でも残高は確認できますが、通帳はあくまで参考資料に過ぎず、正式な証明書ではありません。
そのため、遺産分割や相続税申告などの正式な手続きでは、金融機関が発行する残高証明書が必要となります。
関連サイト三菱UFJ銀行「残高証明書」
相続において残高証明書が必要になるタイミングはいくつかあります。詳しく見ていきましょう。
被相続人の財産内容を正確に把握するための相続財産調査でも、残高証明書が必要になります。
預貯金については、どの金融機関にどの程度の残高があったのかを確認する必要があり、その際に残高証明書を取得します。
残高証明書を取得すれば、相続開始時点の正確な金額が把握できるため、財産目録の作成がスムーズになるでしょう。
相続人全員で遺産の分割方法について話し合う遺産分割協議でも、残高証明書が必要となります。残高証明書があることで、相続人全員が同じ情報を共有でき、公平な協議が可能になるからです。
特に、金融資産の割合が大きいケースでは、金額の根拠資料として必須といえるでしょう。
相続税申告を行う場合、預貯金は死亡日現在の残高で評価します。その評価額を証明する資料として、税務署に残高証明書を提出するのが一般的です。
通帳コピーのみでは根拠資料として不十分と判断される場合もあるため、正確な申告のためには残高証明書の取得が望ましいでしょう。
関連サイト国税庁「No.4205相続税の申告と納税」
相続税には申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)があるため、早めに金融機関へ請求しておくことが重要です。
相続手続きにおいて取得する残高証明書は、原則として被相続人の「死亡日現在」の残高を基準とします。相続は死亡した時点で開始するため、その時点の預貯金額が相続財産の評価額となるからです。
遺産分割協議や相続税申告においても、この死亡日残高が基礎資料として用いられます。
一方で、手続きの内容によっては複数の基準日で残高証明書を取得するケースもあります。例えば、相続税申告では死亡日残高に加えて、過去の入出金の流れを確認するために取引履歴を求められることがあります。
他には、金融機関によっては解約手続き時点の残高証明書を求められる場合もあるため、目的に応じて基準日を指定して取得することが重要です。
残高証明書は、被相続人が口座を保有していた金融機関の窓口で申請するのが基本です。
近年では郵送での請求に対応している金融機関も多く、遠方の場合でも取得可能です。申請先は本店である必要はなく、原則としてどの支店でも手続きできますが、金融機関ごとに取扱いが異なるため事前確認が望ましいでしょう。
申請時に必要となる書類は、主に下記の通りです。
取得にかかる期間は、窓口申請であれば1週間から2週間程度、郵送の場合は2週間から3週間程度が目安です。
手数料は金融機関ごとに異なりますが、一般的には1通あたり500円〜1,000円程度が多く、基準日を複数指定するとその分費用が増える場合があります。
残高証明書の取得は比較的シンプルな手続きに見えますが、実務では注意すべきポイントがいくつかあります。
ここでは、実務上注意すべきポイントを解説します。
残高証明書の取得方法や必要書類は金融機関ごとに異なります。
例えば、戸籍の提出範囲や相続関係説明図の要否、申請書の様式などが統一されていないため、同じ資料を持参しても追加提出を求められることがあります。
また、郵送対応の可否や手数料の支払方法も金融機関によって異なります。複数の金融機関に口座がある場合は、事前に必要書類を確認しましょう。
相続税申告では、死亡日現在の「既経過利子(きけいかりし)」を相続財産に含めて評価する必要があります。
通常の残高証明書には預金元本のみが記載されることもあるため、必要に応じて経過利息の計算を依頼しておくことが重要です。
特に、定期預金や利息が発生する商品を保有している場合は、税務申告の評価額に影響するため、残高証明書の取得時に「経過利息を含めた証明」を依頼するか、別途利息計算書を発行してもらうと安心です。
相続手続きでは、すべての金融資産を把握することが前提となります。そのため、メイン口座だけでなく、休眠状態の口座や少額口座も含めて残高証明書を取得しましょう。
関連サイト金融庁「長い間、お取引のない預金等はありませんか?」
口座の漏れがあると、遺産分割協議のやり直しや相続税申告の修正が必要になる可能性があります。
通帳や郵便物、キャッシュカードなどを手がかりに、口座の有無を丁寧に確認することが重要です。
金融機関は口座名義人の死亡を把握すると、預金の払い戻しを停止し口座を凍結します。
これは相続人全員の権利を保護するための措置であり、残高証明書の取得をきっかけに凍結されることもあります。
口座が凍結されると、公共料金の引き落としなどができなくなるため、事前に支払い方法を変更しておきましょう。
相続が発生すると、残高証明書の取得など様々な手続きをしなければなりません。
加えて、相続手続きには期限が設定されているものもあるため、正しい順番で期限内に行うことが求められます。
自分で相続手続きを進めるのが不安な場合には、相続に強い税理士や専門家が多数在籍し、実績豊富な「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。
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残高証明書は、相続財産の内容を正確に把握し、遺産分割協議や相続税申告を適切に進めるための重要な資料です。原則として、死亡日現在の残高を取得し、必要に応じて経過利息の計算や取引履歴も確認します。
また、金融機関ごとに手続き方法が異なるため、必要書類や取得期間を事前に確認しておくことが大切です。
口座の漏れがないよう丁寧に調査を行い、早めに証明書を取得することで、その後の相続手続きをスムーズに進められるでしょう。