ゴルフ会員権とは、名前の通りゴルフ場が発行する会員権であり、大きく分けて(1)預託金式と(2)株式会員式に分けられます。
このように、ゴルフ会員権は預託金が返ってくる場合や株のように売買できることから資産価値があり、相続財産に含まれます。
したがって、ゴルフ会員権を所有している人が亡くなった場合、ゴルフ会員権の相続税評価額を計算し相続税を計算しなければなりません。
本記事では、ゴルフ会員権の種類ごとに相続税評価額の計算方法や相続時の注意点を解説します。
目次
ゴルフ会員権は、ゴルフ場が発行する会員権で、主に以下の2種類に分けられます。
預託会員権 | ゴルフ場の施設利用権に加え、一定の預託金をゴルフ場に預ける仕組みの会員権 |
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株式会員権 | ゴルフ場を運営する企業の株式と結びついた会員権 |
どちらもゴルフ場を利用する際に特典を受けられる、優先利用権が付与されるのはもちろんですが、ゴルフ会員権の中には売買可能であり資産価値があるものもあります。
ゴルフ会員権は、預託金を払うタイプのものや株式と結びついたものが一般的なので、相続財産に含まれます。
したがって、被相続人がゴルフ会員権を持っていた場合は、ゴルフ会員権を含めて相続税を計算しなければなりません。
相続税の申告ミス・漏れをしてしまうと、無申告加算税や延滞税、過少申告加算税などのペナルティが発生してしまうのでご注意ください。
被相続人がゴルフ会員権を持っていた場合、相続税の計算が複雑になるので、相続に精通した税理士に相談することもご検討ください。
被相続人が所有していたゴルフ会員権は相続財産に含まれるため、相続人が受け継ぎます。ゴルフ会員権を相続する方法を詳しく見ていきましょう。
1つ目の方法は、ゴルフ会員権を売却し、その代金を相続する方法です。手続きの流れは、下記の通りです。
売却代金を相続する方法は、相続人が複数いてゴルフ会員権を公平に分けたい場合や誰も会員権を相続したがらない場合に適しています。
もうひとつの方法は、ゴルフ会員権の名義変更をして相続する方法です。手続きの流れは、下記の通りです。
相続人の中にゴルフ好きがいて会員権を相続したがっている場合は、こちらの方法でも良いでしょう。
ゴルフ会員権の相続税評価額は、種類や市場での取引状況によって異なります。本章では、ゴルフ会員権の種類別に相続税評価額を計算する方法を詳しく見ていきましょう。
市場で取引されているゴルフ会員権の場合、預託金があるか、返還されるかなどによって、相続税評価額の計算方法が変わってきます。
預託金がすぐに返還される会員権の場合、相続税評価額は以下の計算式で求められます。
相続税評価額=死亡日のゴルフ会員権の取引相場価格×70%+死亡日に返還される預託金の額
ゴルフ会員権の相場は、ゴルフ会員権の仲介業者HPなどで確認可能です。売り希望と買い希望の中間価格が取引相場価格とする仕組みです。
預託金の返還が一定期間後に予定されている場合、返還までの期間に応じた複利原価率を掛けて相続税評価額を算出します。
計算式は、下記の通りです。
相続税評価額=死亡日のゴルフ会員権の取引相場価格×70%+返還される預託金の額×複利原価率
複利原価率は国税庁HPにて公表されていますが、計算が複雑なのでミスなく申告したい人は税理士に相談するのがおすすめです。
返還見通しがない預託金付き会員権の場合、預託金の額は評価額に含めず、取引相場価格のみを基準として相続税評価額を計算します。
相続税評価額=死亡日のゴルフ会員権の取引相場価格×70%
取引相場が存在しないゴルフ会員権の場合、種類によって評価方法が異なります。詳しく見ていきましょう。
日本の会員制ゴルフ場の約9割を占める会員制度です。
預託金制の会員権では、預託金が返還される場合は預託金の金額をもとに評価額を計算します。すなわち、評価額は下記の通りです。
古くからある名門ゴルフ場に多い会員制度です。株主制の会員権の場合、評価額は非上場株式と同様に計算します。具体的には、類似企業を参考にする、純資産価額をもとにして相続税評価額を算出します。
ただし、非上場株式の相続税評価額の計算は、非常に専門的な知識が要求されるので、自分で行うのは現実的ではありません。
したがって、株主制のゴルフ会員権を相続した場合、相続税の計算や申告は税理士に依頼した方が良いでしょう。
預託金と株主権が組み合わさった会員権では、非上場株式と同様の方法で会員権の相続税評価額を計算した後に、預託金の評価額を加えます。
預託金の計算を忘れずに行う必要がありますし、預託金が一定期間後に返還される場合は国税庁が設定している複利原価率を掛ける必要があるので、ご注意ください。
取引相場もなくプレイ権のみのゴルフ会員権は資産価値がないと判断されるので、相続税評価額を計算する必要はありません。
また、プレイ権のみのゴルフ会員権は他人に譲渡できないと規約で定められていることが多く換金性も低いため、そもそも遺産分割の対象にならないことも多いです。
相続手続きが必要かどうかも含めてゴルフ場に確認しておくと良いでしょう。
被相続人がゴルフ会員権を所有している場合、会員権を含めて相続税の計算や申告をしなければなりません。
ゴルフ会員権の相続税評価額を計算する方法は非常に複雑なので、自分たちでは難しい、失敗したくないと感じたら、相続に強い税理士に依頼するのが得策です。
相続税の計算や申告業務は「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。当サポートセンターでは開業して30年以来、2,500件を超える相続の相談をお受けしてきました。弁護士・司法書士などの専門家と協力体制を取りながら、ご相談者様の相続手続きをワンストップでサポート可能です。
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被相続人がゴルフ会員権を所有している場合、会員権を含めて相続税の計算や申告をしなければなりません。
しかし本記事で解説してきたように、ゴルフ会員権の相続税評価額を計算する方法は非常に複雑であり、相続した会員権の種類によって計算方法が異なります。
被相続人が亡くなり相続が発生した後、遺族がゴルフ会員権について調べ、種類を特定し、相続税評価額を計算するのはあまり現実的ではないでしょう。
相続税申告にミスや漏れが発生すると、追徴課税が課される恐れもあるので、税理士に申告業務を依頼することをおすすめします。