固定資産税とは、その年の1月1日時点に土地や建物などの固定資産を所有している人に対してかかる税金です。
関連サイト総務省「固定資産税 」
不動産を所有している人が年の途中で亡くなった場合、被相続人が遺した固定資産税の未払い分は相続人が支払う必要があります。
相続が発生したときの固定資産税の支払い義務は、被相続人が固定資産税を未払いだったか、遺産分割協議が完了しているかなどによって扱いが変わってくるので注意しなければなりません。
本記事では、相続が発生したとき固定資産税は誰が払うのか、固定資産税の計算方法や注意点について解説します。
目次
固定資産税は、不動産や土地などの固定資産を所有している人に課される地方税の一種です。毎年1月1日時点で固定資産を所有している人に対して、その資産の評価額に基づいて算出された税額が課されます。
固定資産税は、不動産を所有する限り毎年支払う必要があり、その金額は資産の種類や評価額によって異なると理解しておきましょう。
なお、その評価額は3年ごとにその資産価値の変動に対応し、適正な価格に見直す制度(評価替え)がとられており、令和6年度(2024年度)は多くの土地・家屋で評価替えが行われました。
関連サイト「令和6年度固定資産の評価替えに関する留意事項について」
相続が発生した場合、相続財産に含まれる不動産に対しても固定資産税が課されます。相続の流れの中で、固定資産税の支払い義務が誰にあるのかについては、遺産分割協議が完了しているかなどによって変わってきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
固定資産税は、原則として毎年1月1日時点で不動産を所有している人が支払う義務を負います。相続が発生する前の段階であれば、その不動産の所有者である被相続人が支払います。
また、相続が発生した年であっても、1月1日時点で被相続人が所有者であれば、固定資産税は被相続人の財産から支払う仕組みです。
相続が発生する前の段階では、被相続人が不動産の所有者であるため、固定資産税の支払い義務は被相続人にあります。
被相続人が存命である限り、1月1日を迎えたときにその不動産を所有していれば、その年の固定資産税は被相続人が支払うルールです。
相続が発生し、遺産分割協議が完了するまでの期間は、不動産の所有権が相続人全員に共有される状態となります。そのため、この期間中の固定資産税は相続人全員で負担することが原則です。
ただし、具体的な分担割合や納税方法については、相続人同士の話し合いにより決定できます。
例えば、不動産を受け継ぐ相続人がある程度決まっている場合や被相続人が遺した不動産に住んでいる相続人がいる場合は、その相続人が固定資産税を負担しても良いでしょう。
また、後述しますが固定資産税の納付書は1枚しか届かないため、誰が代表して納税するかも決定する必要があります。
遺産分割協議が完了し、不動産を受け継ぐ人が決まった後は、その人が不動産の新たな所有者となります。
そして、新たに所有者となった相続人は翌年の1月1日以降も不動産を所有している限り、固定資産税の納税義務が発生し続けます。
相続発生後の固定資産税の納税義務については、遺産分割が完了した時点で、固定資産税の支払い義務者が変わると理解しておきましょう。
関連サイト八王子市「固定資産の所有者がお亡くなりになった場合 」
先ほどの章で解説したように、相続が発生したときの不動産に関する固定資産税の支払いは相続人が担います。
ただし、固定資産税の納税通知書が相続人のもとに届かない場合もあるなど、いくつかの点に注意しなければなりません。
相続不動産の固定資産税を払うときには、下記の点に注意しておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
相続発生時点で、被相続人が亡くなる前に支払うべきだった固定資産税が未納の場合、その未払分については、相続税計算時に遺産から控除できます。
これを債務控除と言い、課税対象額から未払いの固定資産税を控除できるため、相続税の節税につながります。
ただし、債務控除を適用するには相続税申告時に債務についての証拠を用意しなければなりません。固定資産税の納付書や領収書が手元に残っている場合は、それらを参考にすれば債務控除を申告できるはずです。
関連サイト国税庁「No.4126相続財産から控除できる債務」
被相続人が不動産経営を行っていた場合、相続人は「準確定申告」を行う必要があります。準確定申告とは、被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得に対する申告を相続人が代わりに行うことです。
給与所得のみを得ていたサラリーマンと異なり、不動産収入などを得ていた人が亡くなった場合は、準確定申告をしなえればならないのでご注意ください。
特に、賃貸不動産を複数所有していた場合や経費の処理が複雑になるケースでは、準確定申告の難易度が上がるため税理士など専門家の助けを借りることをおすすめします。
また、準確定申告の期限は相続開始から4ヶ月以内と相続税申告よりも早い点にも注意しましょう。
準確定申告を行わない、申告が遅れてしまうと、後に延滞税や無申告加算税といったペナルティが発生する可能性があるため、期限内の手続きを忘れないようにしましょう。
相続が発生した時期によっては、固定資産税の納税通知書が相続人宛ではなく被相続人宛に届く場合があります。
この場合、相続人が固定資産税の納税義務を把握するのが遅れる可能性があるので、注意しなければなりません。
家族や親族が亡くなった後は、相続手続きや遺産に関する重要な書類が届くこともあるので、被相続人宛に届く郵便物もチェックしておきましょう。
固定資産税の納税通知書が被相続人宛に届いた場合でも、相続人が責任を持って支払い手続きを行わなければ、延滞金が発生するリスクがあるため注意が必要です。
なお、固定資産税の納税通知書が相続人宛に届く場合でも、相続人全員に送付されるわけではなく代表とされる相続人のみに届く点にもご注意ください。
一般的には、相続不動産の近居に住んでいた、同居していた相続人宛に固定資産税の納税通知書が届くことが多いです。
相続人の1人に納税通知書が届いた場合でも、遺産分割協議が完了するまでは相続人全員に固定資産税の納税義務があるので注意しましょう。
関連サイト東京主税局「納税通知書・課税明細書について」
被相続人が不動産を所有していた場合は、相続税申告が必要な場合があります。また、被相続人が賃貸経営をしていた場合は、準確定申告も必要な場合もあるのでご注意ください。
相続税申告や準確定申告をする際には、被相続人の遺産や所得を漏れなく計算する必要があります。
相続人が期限内にミスなく申告業務を完了されることは難しいので、相続に精通した税理士に相談するのが良いでしょう。
相続税申告や準確定申告などの相続手続きは、相続に強い税理士が多数在籍する「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。
当サポートセンターは西荻窪駅から徒歩1分の便利な場所に事務所があり、開業して30年以来、2,500件を超える相続の相談をお受けしてきました。弁護士・司法書士などの専門家と協力体制を取りながら、ご相談者様の相続手続きをワンストップでサポート可能です。
杉並・中野相続サポートセンターは西荻窪駅・徒歩1分に事務所を構え、下記エリアを中心とした地域密着の相続相談を承っています。ぜひご相談ください。
相続不動産の固定資産税の納税義務は、相続がいつ発生したかや遺産分割協議が完了しているかどうかによって、納税義務者が変わるので注意しましょう。
また、被相続人が複数の不動産を所有していた場合、相続税の計算が複雑になる可能性がありますし、被相続人が不動産経営をしていた場合は準確定申告が必要な可能性が高いです。
このように、不動産を所有している人が亡くなった場合は、固定資産税の納税以外にも様々な手続きを行わなければなりません。
相続税申告や準確定申告については、相続に詳しい税理士に依頼することもご検討ください。