被相続人が所有していた骨董品は、相続税の課税対象となります。なお、相続税は骨董品や預貯金、不動産など遺産それぞれに対してかかるのではなく、遺産総額に対してかかる仕組みです。
また、骨董品は希少価値のある工芸品・美術品とされるため範囲が広く、預貯金などのように金額がはっきりしていないため、相続税を計算する際には、最初に相続税評価額を計算しなければなりません。
骨董品の相続税評価額を計算する方法には、売買実例価額と精通者意見価格の2種類がありますが、信頼性が高くおすすめできるのは精通者意見価格です。
本記事では、骨董品は相続税の課税対象になること、相続税を計算する方法や相続時の注意点についてわかりやすく解説していきます。
目次
本記事冒頭で解説したように、被相続人が所有していた骨董品は相続税の課税対象です。相続税とは、被相続人が遺した財産が法定相続人に引き継がれる際にかかります。
預貯金や不動産などと異なり、骨董品などは、相続税の課税対象であると認識していない人もいるため、相続税申告時に計上し忘れてしまいがちなので注意しましょう。
また、骨董品は預貯金と異なり価値がわかりにくいため、相続税申告時には事前に相続税評価額を計算しなければなりません。
次の章では、相続税を計算する流れを詳しく見ていきましょう。
相続税は骨董品や株式、預貯金など個々の遺産に対してかかるのではなく、被相続人の遺産総額に対してかかります。
また、相続税は累進課税制度を採用しているため、遺産が多ければ多いほど税率が上がる点にも注意しなければなりません。
相続税を計算する流れは、下記の通りです。
また、骨董品や不動産を相続したときには、相続税評価額を最初に計算する必要があります。
骨董品の相続税評価額を計算する流れは、次の章で詳しく見ていきましょう。
骨董品の相続税評価額を計算する方法には、売買実例価額と精通者意見価格の2種類があります。これらのうち、信頼性がより高いのは、精通者意見価格です。
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
売買実例価額とは名前の通り、実際に市場で売買されている取引価格やインターネット上の売買情報をもとに相続税評価額を計算する方法です。
有名な骨董品や人気の高い骨董品で市場価格を調べやすいものは、売買実例価額を用いて相続税評価額を計算してみても良いでしょう。
売買実例価額を用いて、骨董品の相続税評価額を計算する際には、主に下記の価格を参考にすることが多いです。
売買実例価額のメリットは、もうひとつの方法である精通者意見価格よりも、相続税評価額を手軽に計算できる点です。
一方で、信頼性については精通者意見価格には劣りますし、骨董品の種類によってはそもそも売買実例価格が適さないものもあります。
精通者意見価格とは、骨董品に詳しい古美術商や鑑定士などに依頼して、専門家の意見をもとに相続税評価額を計算する方法です。
市場にあまり出回っておらず売買実例価額では算出できない骨董品や希少価値が高く評価額が高くなりそうな骨董品や美術品を相続した場合は、精通者意見価格を用いるのが良いでしょう。
一方で、古美術商や鑑定士に鑑定を依頼した場合、鑑定料がかかるのでご注意ください。
被相続人が所有していた骨董品を相続税申告する際には、骨董品の資産価値によって個別に計上するか他の家財道具とまとめて計上するか取り扱いが異なるのでご注意ください。
それぞれの計上方法を詳しく解説していきます。
相続した骨董品の相続税評価額が5万円を超える場合は、高額財産として扱われます。したがって、一つひとつ相続財産として計上しなければなりません。
相続した骨董品の相続税評価額が5万円以下であれば、他の家財道具と一緒に計上して問題ありません。相続税申告をするときにはそれらを合計して「家財道具一式 〇〇万円」と記載しておきましょう。
関連サイト国税庁「No.4105相続税がかかる財産」
被相続人が骨董品を遺していた場合には、相続税申告時に「特定の美術品に係る相続税の納税猶予」を適用できないか確認してみましょう。
適用できれば、相続税を猶予できるため、税負担を軽減可能です。骨董品含む財産を相続税申告する際には、下記の点に注意しましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
骨董品や美術品を相続したときには「特定の美術品に係る相続税の納税猶予」を適用できる可能性があり、一定の条件を満たした美術館などに特定美術品として寄託していた骨董品や美術品がその対象になります。
関連サイト国税庁「No.4154特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除」
特定の美術品に係る相続税の納税猶予を適用できれば、特定美術品にかかる課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
特定の美術品に係る相続税の納税猶予を利用できるのは、下記の条件に該当する骨董品や美術品です。
被相続人が希少価値の高い骨董品や美術品を所有していた場合は、特定の美術品に係る相続税の納税猶予を適用できないか、一度税理士に相談してみるのも良いでしょう。
税務調査のリスクを少しでも下げたいのであれば、売買実例価額ではなく精通者意見価格により骨董品の相続税評価額を計算しましょう。
税務署は、相続財産の評価に対して適切な根拠があるかを特に重視しているからです。
精通者意見価格により骨董品の相続税評価額を算出していれば、専門家による評価のため、評価額に対して根拠があると判断されやすくなります。
精通者意見価格により相続税評価額を調べる際には、専門家の鑑定料がかかりますが、鑑定料については相続財産から控除できないのでご注意ください。
そのため、人によっては鑑定料を払うのを避けたい、実例売買価額を使用して相続税を申告したいと考えることもあるでしょう。
しかし、先ほど解説したように、実例売買価額は精通者意見価格よりも税務署から指摘を受けるリスクが上がります。
鑑定料を節約した結果、延滞税や過少申告加算税などのペナルティが発生するなどの事態は避けなければなりません。
被相続人が所有していた骨董品について、相続税申告の対象から外していると、税務署から申告漏れを指摘される恐れがあります。
税務署から指摘を受けるなどして相続税の申告漏れや過少申告が発覚すると、延滞税や過少申告加算税などのペナルティが発生するのでご注意ください。
被相続人が所有していた骨董品は相続税の課税対象になるため、相続税評価額や相続税を計算しなければなりません。
相続財産には様々な種類があるため、漏れなく相続税の申告をするには、専門的な知識や経験が必要になる場合も多いです。
骨董品などの遺産が多く、相続税の計算が複雑であれば、相続に精通した税理士に相談することをおすすめします。
相続税申告は、相続に強い税理士が多数在籍する「杉並・中野相続サポートセンター」までご相談ください。
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骨董品や美術品も相続税の課税対象であり、相続税評価額を計算した上で相続税を計算しなければなりません。
骨董品の相続税評価額を計算するには、実例売買価額と精通者意見価格の2種類がありますが、税務調査のリスクを下げたいのであれば、精通者意見価格を活用するのがおすすめです。
また、遺産に骨董品が含まれる場合、相続財産の種類が多岐にわたり、漏れなく相続税申告するのが非常に大変となることも多いです。
自分で相続税申告するのが難しい場合は、相続に詳しい税理士に相談することも検討しましょう。